共通テスト数学が「時間足りない」と言われる理由を高1向けに解説
共通テスト数学は「難しい」よりも「時間が足りない」と言われがち
共通テスト数学について、多くの受験生が「問題自体は解けるのに時間が足りない」と口にします。
実際、私が指導した生徒たちも、模試の復習では希望通りの得点(8割~9割)を取ることはできるのに、過去問演習では制限時間内では4割~6割程度しか完答できないという状態が続き、対処に悩むことが多いです。

中3・高1の今だからこそ知っておきたい“本当の理由”
そもそも、なぜ今この話しをここでするのか。まだ2~3年先のことなのにとお考えの方もいらっしゃることでしょう。
とんでもない!
この「時間が足りない」問題は、高校3年生になってからあわてて対策しても手遅れだからです。
特に、保護者様ご自身が共通一次試験やセンター試験を受験した経験をお持ちであれば、声を大にして申し上げたいのです。
当時のように、あわよくば国立2次試験対策のみで済まそうとしたり、対策をするにしても受験直前からで十分と考えてしまうと、全く間に合わないことを思い知ることになりかねません。
これは才能やセンスの問題ではない
共通テスト数学で時間が足りないのは、才能やセンスの有無という問題ではありません。
適切な準備と練習によって必ず改善できる技術的な問題です。

問題の設定が長文で書かれ、それを読み取ってからでないと数学の問題を解く技術の出番がない問題形式であるため、その設定を以下に素早く把握するかが問われます。
この対策には短くても半年はかかるとしておいた方がよいでしょう。
そうであれば、どんなに遅くとも高3の2学期から対策をしないと間に合わないことになります。
必然的に、国立2次試験や私大対策は、高3の夏休みまでに終えることになり、そのためには、理系なら数学Ⅲまでの教科書レベル問題を高2までに一通り解けるようにしておかなければなりません。
大雑把に申し上げると、次のペースで進めることになります。
- 中2までに中学数学を完成
- 中3までに数学ⅠA(最低限)教科書レベルの完成
- 高1までに数学ⅡBC(最低限)教科書レベルの完成
- 高2までに数学ⅢC(最低限)教科書レベルの完成
つまり、過去の常識よりも半年から一年前倒して対策を始める必要があるのです。
共通テストの現状
なぜ共通テスト数学は「時間が足りない」と感じるのか?
まずは、次の問題をみてください。
(実際の問題の引用は推奨されていないため、創作した問題を示します。)
センター試験時代の問題の典型例(数学ⅠA)
2次関数\(f(x) = x^2-2x+3\)について
(1) \(f(x)\) の最小値を求めよ
(2) \(f(x)=7\)となる\(x\)の値を求めよ
読解にかかる時間:約10秒
これなら教科書レベルの典型問題ですから、国立2次試験対策さえ万全なら、追加的な対策は不要です。
共通テスト式の問題例
ある菓子店では、1個150円のクッキーを1日あたり200個販売している。
市場調査により、価格を10円上げるごとに販売個数が8個減ることが分かった。
この菓子店の1日あたりの売上高を\(S\)(円)、クッキーの価格を\(x\)(円) とする。
ただし、クッキーの製造原価は1個あたり80円で一定とし、\(x≥150\) の範囲で考える。
太郎さんは以下のように考えた。
「価格が\(x\)円のとき、販売個数は\(m\)個となり、売上高は\(S=\boxed{\phantom{123}}\)で表される」
(1) \(\boxed{\phantom{123}}\)に入る式を求めよ
(2) 売上高が最大となる価格を求めよ
(3) 利益が最大となる価格を求めよ
読解にかかる時間:2~3分
なぜ共通テストの問題は、読解に時間がかかるのか?
情報の整理が必要
共通テストでは、与えられた情報を整理する作業が必要です。
抽出すべき情報
基準価格:150円
基準販売個数:200個
価格変化による販売個数の変化:10円↑ → 8個↓
製造原価:80円
変数の定義:価格\(x\)円、売上高\(S\)円
その後、読み取った情報を元に数式化することが必要
単純な計算問題ではなく、現実の状況を数式で表現する作業が求められます。
思考過程
価格が\(x\)円 → 基準価格150円から\((x-150)\)円の値上げ
値上げ幅\((x-150)\)円\(\div 10円\)=値上げ回数
販売個数減少=値上げ回数\(\times 8個\)
実際の販売個数=200-販売個数減少
売上高=価格\(\times\) 販売個数
問題の意図を理解する時間
「太郎さんは以下のように考えた」という部分で、問題作成者が求めている思考プロセスを理解する必要があります。
実際の時間ロスの実例
私の指導経験から、生徒たちがどこで時間を消費するかを以下に例示します。
A君の場合
(数学得意、読解苦手)
問題文理解:3分30秒
情報整理に手間取る
「販売個数が8個減る」を「8個になる」と誤読
最初からやり直し
B君の場合
(読解得意、計算やや苦手)
問題文理解:1分30秒
素早く情報を整理
しかし計算で時間がかかり、全体では同じ程度の時間
C君の場合
(両方苦手)
問題文理解:5分以上
何度も読み返し
結局時間切れで未完答
現代の共通テスト対策とは
高校数学以前に差がつく「中学数学の土台」
中学数学の重要性
実は、共通テスト数学での時間不足は、中学数学の基礎が不十分な場合に顕著に現れます。
特に以下の単元の計算技能の確固たる土台をつくっておくことが大切です。
- 正負の数、文字式、平方根の計算
- 連立方程式、二次方程式の解法
- 関数とグラフの基本概念と解法
これらが確実でないと、高校数学の問題を解く際に、毎回基礎的な計算で立ち止まることになります。
その計算力を前提とし、数学的思考の土台をつくることも重要です。
- 論理的に考える習慣
- 問題を段階的に分析する能力
- 複数の情報を整理して結論を導く力
特に、証明問題を十分に練習しておくことを強くお勧めします。これらは中学数学の学習過程で培われる重要な思考力です。
高1の今からできる「時間が足りない」を防ぐ準備
中学数学の完全習得
まず中学数学を完璧にしてください。
「だいたいできる」では不十分
です。以下の点に注意しましょう。
- 中学数学の基本問題を見た瞬間に解法が浮かぶ
- 計算ミスをほとんどしない
- 文章問題を読んで瞬時に立式できる
高校数学の先取り学習
理系志望なら、以下のペースで進むことを強く推奨します。
- 中3までに数学ⅠA(最低限)教科書レベルの完成
- 高1までに数学ⅡBC(最低限)教科書レベルの完成
- 高2までに数学ⅢC(最低限)教科書レベルの完成
この進度なら、高3の夏休みまでに難関大学の2次試験対策を完成させ、秋から共通テスト対策に集中できます。
読解力の向上
共通テストでは数学的読解力が不可欠です。次のことを意識して日々の学習に取り組みましょう。
- 日頃から数学の文章問題に慣れ親しむ
- 問題文から必要な情報を素早く抽出する練習をする
- グラフや表から情報を読み取る訓練をする
基礎技能の自動化
以下のことを地道に取り組むことを強くお薦めします。
- 基本的な計算を毎日練習する
- 公式を導き、その後正確な暗記を経て応用練習につなげる
- 典型的な解法パターンを反復練習して、瞬時に解法が浮かぶようにする
まとめ|「時間が足りない」は能力ではなく準備の問題
共通テスト数学で「時間が足りない」という悩みは、決して能力やセンスの問題ではありません。
適切な準備と練習により、必ず解決できる技術的な課題です。重要なポイントは次の通りです。
- 基礎計算の自動化が最重要
- 中学数学の完全習得が土台
- 高校数学の先取りで余裕を作る
- 共通テスト対策は遅くとも高3の2学期から本格化
高校1年生の今から意識的に準備を始めることで、高校3年生時に「時間が余る」くらいの実力を身につけることが見込めます。
焦る必要はありませんが、計画的に、そして確実に基礎を積み上げていきましょう。
東大をはじめとする難関大学への道のりは決して平坦ではありませんが、正しい準備をすれば必ず到達できます。今日からその第一歩を踏み出しましょう。
無料面談を行い、必要に応じて体験授業を設定することも可能です。
ご不明点やご質問、取り上げてほしい話題などがございましたらメッセージをお寄せください。次回以降に、必要に応じて適宜反映いたします。
個別のご相談も承りますので、ご入用の際は、お問い合わせください。お待ちしています。
執筆者プロフィール

神田算数・数学教室 塾長 神田寛元
東京大学理科1類卒業。受験指導歴10年以上。「偏差値20足りなくても志望校合格」を実現する指導スタイルで、通っている塾から志望校変更を薦められた生徒を初志貫徹で合格に導く。
「問題の解き方を覚えること」ではなく「考え方を理解し説明できること」を重視した指導により、模試の合格判定に関係なく志望校合格を実現。特に算数・数学の思考プロセスの言語化指導を得意とし、根本的理解に基づく学力向上をサポートしている。
神田算数・数学教室
東京都中央区(新富町駅・築地駅近く)
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