中学受験生が志望校へ合格するための最後のチャンス。それは夏休みに基礎固めを徹底することです。
あと一月ほどで夏休みが始まります。今年は大きなイベントがあるようですが、来年に受験を控えている場合は息抜きはほどほどに抑えたいものです。
という書き出しで始めると、本当に説教くさいですね。
はい、説教です。今のうちに言っておかないとお互いに後悔しますから。開き直って(笑)、さっさとお説教の核心に迫ります。
では、基礎とは何か?
私は、定義を理解し、そこから話を展開して説明ができる状態であると位置づけています。
試験対策としての基礎は、基礎・基本問題というレベルの問題を解いて実際に点数がとれる状態です。
この状態の一部について、速さの単元を例に説明します。
速さのうち秒速とは、1秒間に進む長さ(道のり、距離)のことです。秒速3mを矢印で図解すると、
3m
→
1秒
ということです。
ならば、2秒で進む長さを求めるなら、
3m3m
→→
1秒1秒
のように1秒に3m進む矢印を2個並べればいいので、
3m+3m=6m
つまり、
3m×2=6m
のように求めることができます。
(かけ算の意味は理解できていることが前提です。)
では、同じ秒速3mのまま時間を4秒にしたらどうするか?
1秒に3m進む矢印を4個並べればいいので、
3m+3m+3m+3m=12m
つまり、
3m×4=12m
のようにすればよいわけです。
ここで、2秒のときと4秒のときとで
・何が変わったか
・何は変わっていないか
を考えてみましょう。
・進む時間は2秒から4秒に変わった
・速さ(秒速3m)は変わっていない
2秒のときは、進む長さを
3m×2=6m
4秒のときのそれは
3m×4=12m
と求めています。
ということは、進む長さを求めるためには
(長さ・道のり・距離)=(秒速)×(秒数)
とすればよいことがわかります。
では、分速70mで1時間歩いたら何m歩けるか?
もちろん、1分に70m進むのですから、
70m
→
1分
という矢印が1時間なら60個並ぶので、
70m×60=4200m
と求めます。以上、この一連の流れを「自ら説明できる」ようになることをもって基礎が固まったと私は表現しています。
この速さの単元の例で示したように、
・速さとは何か?(定義を知る)
・かけ算はどのような場面で使えるか?
・複数の場面における共通点と相違点は何か?
(話を組み立て展開していくための材料)
を知っていたり理解していることで使える状態になることを、私は
・基礎が固まる
・基礎力がついた
と表現しています。
では、その対極の状態は何でしょう?
上記の段階を飛ばし、単に公式を覚えてあてはめることでわかったつもりになることだと思います。
もちろん、まず公式を使ってとりあえず正解を出してみることは有益です。学習段階の一部分としてそれを否定するものではありません。
ここで伝えたいことは、
「自分で導けない」公式を覚えてあてはめて正解を出したからといって、それだけでできるようになったと勘違いすると、応用がききませんよ
ということです。その応用問題が解けるようになることが必要な学校に進学したいのなら、まずは基礎力をつけるための勉強が欠かせません。それなしに志望校の過去問を解きまくったところで、期待した成果が見込めるか否かという観点でいえば、単なる時間とやる気と資源の無駄使いです。これまでの実績を踏まえて断言します。
私が算数や理科を指導するときは、まず言葉の定義を理解し、それを使って
・話を進めていく
・抽象化する
・(一見)異なる(ように見える)場面に応用させることができる
という状態になっていただけることを目指して指導しています。
夏休みはこのような基礎力をつけるために絶好の機会です。まとまった時間を一定期間とれる最後の機会だからです。
受け持っている生徒の基礎力を確固たるものにするべく、私も全力で臨むところです。